放射線治療品質管理機構

構成6団体

放射線治療品質管理士とは

放射線治療品質管理士とは

放射線治療に関連する5つの学会および団体(日本放射線腫瘍学会,日本医学放射線学会,日本医学物理学会,日本放射線技術学会,日本診療放射線技師会)は、放射線治療の安全管理体制を確立することを目指して、2004年11月に放射線治療品質管理機構を設立し、放射線治療品質管理士の認定を開始しました。2022年4月からは日本医学物理士会が加わり、6学会・団体が一致団結して、機構の運営を行っています。

放射線治療品質管理士は、放射線治療の品質管理を行う能力と経験を有する者であり、治療現場で品質管理の任にあたる方です。

放射線治療品質管理士は、下記条件を満たし所定の講習会を受講し、新規認定は認定試験に合格した者をいう。

  1. 放射線治療の実務経験2年以上 且つ 治療品質管理に1年以上従事した者
  2. 下記のいずれかの資格を持つ者
    1. 日本医学物理士認定機構の「医学物理士」
    2. 日本放射線治療専門放射線技師認定機構の「放射線治療専門放射線技師」

放射線治療品質管理士の役割

放射線治療品質管理士の役割は、それぞれの現場での放射線治療の品質マネジメント(放射線治療の質の向上を目的とした幅広い活動)を主体的に行うことである。昨今の品質マネジメントの観点からは、施設の管理者・リスクマネジメント組織・放射線治療医等の放射線治療に携わる者と連携して、連絡・指示の伝達周知、病院管理部門への改善措置の提案、スタッフへの教育・研修、広報等を行うことも求められる。また、第三者評価の導入等を通して、客観的な指標による放射線治療の品質保証を達成しなければならない。

具体的な役割

  1. 放射線治療部門全体の品質マネジメントの体制整備とPDCA サイクル(計画・実行・評価・改善)の実施 注1)
  2. 放射線治療の品質マネジメント、医療事故発生予防のための情報収集と主体的活動
  3. 放射線治療機器(照射装置及び治療計画装置、関連機器)・情報システム・技術に係るコミッショニングおよび定期的な品質保証/品質コントロール(QA/QC)プログラムの立案と計画、実行 注2)
  4. 放射線治療に関する品質管理・医療安全・リスクマネジメントに関する自施設スタッフへの教育・研修、広報等の立案・実施
  5. 放射線治療に関わる法令・ガイドライン等に基づく施設基準(人員、設備等)の把握、自施設の整備状況の評価および改善案の提案
  6. 品質マネジメント全体、放射線治療機器等のQA/QC プログラム実施における病院内の医療安全担当者や他の放射線治療品質管理に携わる職種の協力体制の構築
  7. 機器故障・医療事故(ニアミスを含む)等発生時の対応と発生後の品質マネジメント体制の見直し
  8. 第三者機関による定期的な出力線量測定および線量計等の校正の定期的実施と結果に基づく改善

注1)品質マネジメントでは、施設全体の品質マネジメント方針、放射線腫瘍医の治療方針、放射線治療のプロセス等に照らして、施設に合った目標を施設内で協議して設定したうえで、計画、実行、評価、改善のPDCA サイクルを廻していく。

注2)各装置に入力すべきデータ管理とチェックの実施、各施設に対応した実施可能なQA/QC プログラム(実行すべき項目とその許容値、頻度別プログラム等)の策定と実施を含む。

放射線治療品質管理士認定制度とは

放射線治療品質管理士認定制度は、上記の放射線治療品質管理士の役割を担う者として放射線治療品質管理士を認定する制度です(放射線治療品質管理機構規約第3条)。

放射線治療品質管理士の資格を申請(新規申請)するためには、まず申請資格の条件を満たす必要があります。具体的には、放射線治療の実務経験が2年以上で、かつ治療品質管理に1年以上従事していることと、医学物理士または放射線治療専門放射線技師の資格が必要です(放射線治療品質管理士制度細則第1条A)。新規申請の詳細については新規申請のページをご覧ください。
放射線品質管理機構では申請に対して資格審査を行います。申請資格を満たすと判定された方は、所定の講習と試験を受けることができます。講習を受講し試験に合格した適格者に放射線治療品質管理士の資格が授与されます(放射線治療品質管理士制度細則第1条B)。
講習及び試験については放射線治療品質管理講習会のページをご覧ください。

放射線治療品質管理士の資格の有効期間は3年です。資格の更新のためには放射線治療品質管理士としての実績が必要です。具体的には、更新認定の際に、「認定期間のうち1 年以上、品質管理業務を行った施設の所属長または施設長の公印のある証明書」および「認定期間の毎年度について、各1単位相当の受講を証明するもの」が必要になります(放射線治療品質管理士制度細則第1条D)。 更新認定の詳細についてはマイページ内の更新申請のページをご覧ください。

診療報酬上の算定

放射線治療における診療報酬上、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日 保医発第0305 第3号)の中で、施設基準について、医療機器安全管理料2では「放射線治療に係る医療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を専ら担当する技術者(放射線治療の経験を5年以上有する者に限る。)」が要件に含まれている。外来放射線照射診療料、放射線治療専任加算、外来放射線治療加算、1回線量増加加算、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療加算、体外照射呼吸性移動対策加算、定位放射線治療、定位放射線治療呼吸性移動対策加算、粒子線治療、粒子線治療医学管理加算及び画像誘導密封小線源治療加算に係る常勤の診療放射線技師との兼任はできないが、外来放射線照射診療料に係る技術者を兼任することができる。

この技術者は、診療放射線技師、医学物理士と共に放射線治療品質管理士も含まれる。ただし、他の施設要件と兼任できるものとできないものがあること、さらに、「専ら(*1)」であるため、勤務時間の大部分を医療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理に当てることが求められていることに注意が必要である。これらは立入検査等の際に確認されることがある。

放射線治療を安全かつ安心して実施するために、放射線治療品質管理士の専従が望ましい。

*1 JASTROの会員専用ページ内の「放射線治療の診療報酬における「専ら担当」及び「専従」の解釈について(2021年11 月12日)」を参照ください。

放射線治療品質管理士の推移

放射線治療品質管理士の県別人数

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