放射線治療品質管理機構

構成6団体

放射線治療品質管理機構とは

理事長挨拶


2019年に行われました放射線治療品質管理機構理事会で、理事長を拝命いたしました。

本邦においては現在、国民の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで死亡します。がん治療の三本柱の一つとして放射線治療は重要な役割を果たし、年間の放射線治療患者数は25万人を超えてこの30年間で約4倍となっています。放射線治療はその施行手順の複雑さから、また特に近年革新されている高精度放射線治療の計画・実施を安全に行うためには、医師・看護師だけでなく、診療放射線技師や医学物理士といった職種とのチーム医療が必須です。特に放射線治療においては、診療放射線技師の中で放射線治療を専任に行う人材が必要で、さらに品質管理を専任とする人材が求められます。

本邦では、2000年代から放射線の過誤照射が多数報告され、過剰照射においては患者さんへの悪影響、過小照射では治療成績の低減が懸念され、患者さんに大きな不利益をもたらすこととなります。過誤照射の原因としては、治療計画装置の誤設定・誤操作、線量計の誤使用、線量評価の誤認識などがあげられます。

本邦の放射線治療体制の根本的な見直しと整備が必要で、2004年4月に放射線治療に関連する5つの学会・団体(日本放射線腫瘍学会、日本医学放射線学会、日本医学物理学会、日本放射線技術学会、日本診療放射線技師会)で「放射線治療の品質管理に関する委員会」を組織し、10月に放射線治療品質管理の提言をまとめ、放射線治療品質管理士制度を創設しました。委員会は発展的に解消し、「放射線治療品質管理機構」が創設されました。なお、2022年4月からは日本医学物理士会が加わり、6学会・団体が一致団結して、機構の運営を行っています。

本機構では、2005年から「放射線治療品質管理士講習会」を毎年開催し、2021年までに2000人を超える放射線治療品質管理士を認定し、その資格の更新作業にも従事しています。放射線品質管理士の業務は診療報酬にも一定の位置付けがなされ、その活動により過誤照射の報告は大きく減少しています。今後は線量管理の均てん化に向け、地域連携の体制つくりに取り組んでゆきます。

今後も放射線治療の安全な遂行に皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

放射線治療品質管理機構
理事長 茂松直之
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