放射線治療品質管理機構

構成6団体

地域連携支援

「地域連携支援パイロットスタディ」について

概要説明

放射線治療品質管理機構では、地域連携支援活動の目標を実現する具体的な方策として2018年1月から全国を9地区ブロック(図1)に分けて、各地区における地域連携支援パイロットスタディを実施している。 このパイロットスタディの目的は以下に示すとおりである。

  1. 地域連携を推進するためのネットワークの構築と、地域ごとの連携に関わる問題点や課題を検討する機会を設ける。
  2. 線量測定のQA・QCの脆弱な施設に対する具体的な支援策の検討、線量測定に関するマニュアルの整備、支援に必要なリソースについての調査を行う。
  3. パイロットスタディの情報を継続的に収集することで、機構の地域連携支援の在り方を検討する。
地域連携支援パイロットスタディの全国9地区ブロック
図1 地域連携支援パイロットスタディの全国9地区ブロック
このパイロットスタディには、各地区ブロックの都道府県代表者(主に各地で研究会・研修会を主宰されている品質管理士)と機構の地域連携支援委員が参加している。地区ブロック内の1施設に集合し、財団の出力線量測定結果の相違が大きい施設を想定して、地区内の品質管理士と遠隔対応による測定支援シミュレーションを実施している。また、地域連携支援の趣旨説明や各地区における放射線治療品質管理の課題などの意見交換を通して情報共有を行っている。図1に示す通り、これまでに6地区ブロックのパイロットスタディが実施された。各地区の報告書に、実施内容や課題、および成果が記載されている。

これまでの取り組みと成果

遠隔支援システムの導入
これまでに実施されてきたパイロットスタディで収集された意見を基に、遠隔支援システムによる地域連携支援活動のサポートを行うシステム(図3)の開発・導入を進めている。このシステムは、標準計測法12に基づく自動的な測定が可能で、遠隔地にいる支援者から訪問測定の地区支援者をサポートできる。セキュリティの確保されたデータサーバでデータを一括管理し、データの記録・保存・報告書作成まで自動化できる。これまでのパイロットスタディで実際に活用され、参加者からの意見に基づいて改良が図られている。
Fig.6 遠隔支援システム構成 (STD-Audit)
Fig.6 遠隔支援システム構成 (STD-Audit)
治療計画装置計算における品質保証プログラム(TPS-QC)の導入
Treatment Planning System-Quality Control Program(TPS-QC)は、国立がん研究センターがん対策情報センター放射線治療品質管理室で開発されたツールである。治療施設におけるDose Monitor Unit(DMU)や出力係数、ウェッジファクタなど、施設の治療計画装置で計算されたデータを、データベースの中間値と比較することができる。また、施設のパーセンタイル値を累積グラフ上に表示できるようになっている。 訪問支援施設訪問に先駆けてTPS-QCプログラムを組み込むことで、治療計画装置のエラーを特定・除外することができる。
地域ネットワーク(協力体制)の構築
これまで実施してきたパイロットスタディには延べ人数145名の品質管理士の方々が参加され、各地区ブロックや各都道府県における協力体制の地域ネットワークが構築された。今後は、全国地区ブロックの方々と意見交換を行いながら、具体的に品質管理の脆弱な施設に支援を行う仕組みの構築や地区における第三者評価の普及、および地域連携支援活動を通じて人材育成に取り組んでいく。
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